挿し絵と文字がモノクロのペン画で描かれて、ダークな話が展開されることで知られているエドワードゴーリーの本ですが、この本もきっと読む人のはっとするようなとこを突く本です。
ゴーリーの本は好きでいくつか読んでいますが、過分にしてこのタイトルはまだ読んでいませんでした。植木を刈り込んでつくるトピアリーが表紙に描かれているのが『思い出した訪問』ですが、よくゴーリーの作として出てくるほかの絵本に比べて表紙に人物やモンスターが描かれておらずやや地味なので手に取らずにいました。
この『思い出した訪問』は、昨年と今年、コロナで抑圧されたいまの私の気持ちにひどく響くところがある内容でした。
とつとつとした文章で語られてる展開は、前知識なしで是非読んでほしいと思います。
内容のネタバレも含めてここで
書きつらねて行こうと思うので、まだ読んでいない方はここで戻るボタンを押してください。
※ストーリーネタバレあり※
思い出したというタイトル通り、主人公の女の子が
過去に会った人物のことを成長してから思い出すというストーリーなのです。
幼少期に交わした老人とのささやかな約束事を少女期を健やかに成長したのちに果たそうとした時に、とうの昔に老人は亡くなっていたという
老齢のはかなさと青年期の未来を前提とした無垢さの対比に胸が締め付けられました。